6月2014

紫陽花…三好達治

おりおり

アジサイの季節です。新緑の大きな葉と淡い色の花々は、6月という月にピッタリの花だと思います。

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誰にも、心像風景というものがあると思いますが、アジサイと聞くと何時も現れるのが紫陽花と言う言葉と次の詩(うた)です。

母よ--
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並木のかげを
そうそうと風のふくなり

時はたそがれ
母よ 私の乳母車を押せ
泣きぬれる夕日にむかって
轔々と私の乳母車を押せ

赤い総ある天鵞絨の帽子を
つめたき額にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空を渡るなり

淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふる道
母よ 私はしってゐる
この道は遠く遠くはてしない道

三好達治  「乳母車」 『測量船』

 
この詩(うた)を口ずさむと、いつもある情景が目の前に広がります。
遠い山の稜線がくっきり見えています。沈みゆく日は、すべてを赤みを帯びた黄金色に包み込みます。一つの道が陽の沈む方向にまっすぐに続いています。何も遮るもののない静かな夕暮れです。そこを何処までも歩く自分がいます。同時に、その歩く自分を見つめる自分もまたそこにいます。

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遙か昔、高校の教科書で学んだ詩です。一つ一つの言葉とそれらが織りなすリズムとそれらが総体として醸し出す世界とが忘れられない記憶となったようです。
もちろんここで見えているシーンは、自分の別の原体験を重ねたものなので、この詩を解釈したものではありません。昔から大きく澄みわたる青い空や赤くまたは黄金色に染め上げる夕日とに特別な感情を抱く自分でした。

やはり、あじさいやアジサイではなく「紫陽花」で有りたいと思います。 ところで、上記「乳母車」の紫陽花は何色が似合うと思いますか? 自分は、赤みを帯びた青色と思っています。

里山

きままな読書

このところ、「田舎」を考えています。ここに挙げた本なども一つのきっかけです。どちらかというと現代社会のアンチテーゼとしての側面の強い内容で有ると思っています。どの本にも、この閉塞感ある日本社会を再生するヒントが詰まっていると強く印象づけられました。お薦めの書籍です。

最近、気になる数値に出会いました。どれも新聞の短い記事だったのですが情報元を見ると、その内容は濃いものでした。
ひとつは、今年の3月国土交通省でまとめた~新たな「国土のグランドデザイン」骨子~です。
ここで、全国を《1k㎡メッシュ区分けした地点》で分析して、2050年に人口が現在(2010年の)半分以下になる地点が現在の居住地域の6割以上となり、その内の2割が無居住化するとなっています。今でも居住地点は国土の5割しかないのに、残った部分でもその6割は急激な人口減となるといっています
http://www.mlit.go.jp/report/press/kokudoseisaku03_hh_000067.html

もう一つは、6月の内閣府調査~2014年版「子ども・若者白書」~です。
ここの特集で、今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるものというのがあります。7カ国での意識調査ですが、「自分の将来に明るい希望を持っているか」・・・ダントツの最下位、「40歳になったときに幸せになっている」・・・これもダントツの最下位、「自分自身に満足している」「自分には長所がある」・・・これも最下位。
未来に希望を持てず、自分に自信が持てない日本の若者像がうかびあがります。
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html

 

里山_1『里山資本主義』は、2014年の「新書大賞」なので書店でも見つけやすいと思います。
日本は資源の無い国と教えられてきました。そのため、輸入した原材料(資源)に付加価値をつけて世界に売る。これしか生きる道はないと一生懸命努力してきました。そして気がつけば、食料受給率は39%(カロリーベース)、68%(生産額ベース)[いづれもh24年度]となっています。
実体は、もっと悲惨な状態にあるのをご存じでしょうか。家畜の餌は、100%輸入だし肥料も原材料のほとんどが輸入、さらに農機具、漁船の燃料もほぼ100%輸入にたよっている現実、トータルの受給率は推して知るべしです。

温暖で豊富な水と肥沃な大地を持つ日本である筈なのに、これはなんとしたことでしょう。
里山は、持続可能な資源として水と食料とエネルギーを生み出すことができるとあります。激しく合点します。国外の政情・政策に左右される不安定さからできるだけ遠くに置く政治こそが国を守る基本と考えます。

(さらに…)