5月2015

旧交を温める

つれづれ

元所属していた職場のOB会が有りました。ここのところ定番となっている初夏の行事で、最近は真面目に出席しています。

全体会では、この機会にしか会えない方々と懇談し、2次会では気兼ねなくお話しできる方々との歓談です。今になって真実を知ったり、裏話があったりと時間を立つのも忘れるくらい楽しい時間を持ちました。

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学生時代の友人も忘れがたいですが、何十年も一緒に働いた方々は、また格別です。今回も話しが途切れること無く次々と共通の話題が出てくるのも長く深い共通時間がなせる技でしょうか。

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一時代を築いたプロフェッショナルな方々ばかりなので、これからもいろいろ教えていただきたいと思います。また、今の業務の関係でご支援をいただくことも有ろうかと考えています。

それはさておいても、このように定期的にお会いし、心から打ち解けた会話が出来る機会を大切にしていきたいと強く思いました。

地方を考える ・・・地方の消滅?

きままな読書

『地方消滅』 この語を、昨年からいろいろな場面で聞くようになりました。2015年の新書大賞にもなったので書店で見かけた方も多いと思います。

とても深い内容となっています。また、遠い先のことではなくて自身の、あるいは子、孫に直接関わる問題です。ぜひ、序論と第一章だけでも読んで見ることをおすすめします。第一章までなら35ページです。

201505-12008年以降、日本の人口は減少に転じ、年を経るにしたがって急激な減少カーブとなる。2010年の人口約1億2千8百万人は、2050年には約9千7百万人になる。その後も減少は止まらず今世紀末には5千万人を割り込む。

加えて、その人口構成もいびつなものとなっている。まず、団塊の世代が65歳を超えて労働力から外れる、かつ高齢者人口を押し上げる。さらに、いわゆる「少子化」とも相まって働き手はどんどん減少する。加えて、若者の都市部への流出が止まらず地方地域の高齢化率は、加速させられる。

いうまでもなく、産業政策、雇用政策、社会保障政策を行うには、ある程度の住民の数とバランスの取れた年齢構成が必要です。地方においては、この前提が崩れるので自治体の基本をなす集落が消える。やがて、自治体そのものが維持できなくなる。2040年には、自治体の約半数896市町村が消滅する可能性が高いと指摘している。

若年女性(20歳~39歳)の動態に注目した分析は(いろいろ云う人もいるが)説得力があると思います。

処方箋として、東京一極集中に歯止め、地方中核都市役割見直し、コンパクトシティ、地域経済の基盤作りなど、また、子育て支援、働き方の改革、女性登用など盛りだくさんの項目が取り上げられている。狙いは、出生率の回復(当面1.8、最終的には2.1)にある。

でも、チョット待てよと言いたい。人口減少、危機的出生率などは人口ピラミッド図を見れば誰だってわかるし、ず~と前から判っていたことではないか。施策もこれまで声高に云われ続けてきたことばかり。なのに、成果があったとも思われない。悲しいことに『地方創世』も中身を見ると新鮮味に欠ける。だって、その内容は、この本と同じなのでつまらない陳腐だ。

高速道路、新幹線など、どれも東京にとって必要なものばかり、子育て支援と云いながら規制改革だとして非正規労働を拡大してきたのは誰だと云いたい。選挙が終われば『地方創世』など全く聞こえてこない。足下が危ういのに、この静かさは不思議です。

201505-2『農山村は消滅しない』では、地方消滅に対して「どっこい、しぶといですよ。」といった感じの内容ととらえました。注目すべきは、ここに中央の資本(=民間資本)がひとつも出てこないことです。これらの資本は、利益に貢献しないとなればさっさと撤退するので当然相手にすべきではないですね。ましてや、民間会社の農業法人など決して許してはならないと思います。自分たちで法人を立ち上げるのが正解であると思います。しぶとさの源泉は、生産現場があること、設備を所有していることと思います。地域を救うヒントが多くあると読めました。

約1年前にここで紹介した『里山資本主義』『実践!田舎力』に通じるものがあるとも感じました。

 

日本をどのような国にしたいのかは、その人口を抜きにして語れません。『地方消滅』前半で示されているように、もはや1億人を維持するのはほぼ不可能であるとの事実を受け入れれば、強国よりも尊敬される国へと選択するのが必然と思いました。この点を共有して、これまでの流れを大胆に変えていく施策が必要なのでは無いでしょうか。

選択さえ誤らなければ、人口減は悪いことではなく、現状多くの行き過ぎを正し心身共に豊かな社会とすることも可能と思います。