9月2014

大高森~野蒜

まちかど

大高森は、松島湾の東側に位置し、昔から奥松島と呼ばれていた場所にあります。大高森は、その名のように標高約100mの高台にあり、最も松島らしい景観が楽しめる場所として知られています。特にここから見る夕日は絶景とも言われています。

DSC091301大高森から西方、松島湾を見ると昔見たのと変わらない同じ風景がありました。遠くの山々が船形連峰、”観光の松島”は右端近くの対岸になります。

DSC091302東の方を足下から見ていくと野蒜(のびる)の海岸が白い弧を描いています。そして、海岸から少し奥まったところには….何もありません。

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DSC091304大高森から野蒜駅まで歩くことにしました。がれきは、かたづけられ見た目何事もなかったかのようですが所々で津波のつめあとを見ることができます。

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階下が流されたのでしょう。その先には、工事中の堤防が見えます。大高森がある場所も一つの島になっています。ここが、そこを結ぶ橋ですが、流され仮設の橋となっているのがわかります。

DSC091309津波の到達ポイントでしょうか、7.2mとなっています。堤防を3m近く越えているのがわかります。海全体がこの高さになる・・・・・・。想像もできません。

DSC091310堤防の内側は、盛り土となっています。こう見るとずいぶんな高さであることがわかります。

DSC091311野蒜の海岸です。ここは海水浴場として賑わったところです。砂浜は残っていますが、今は誰もいません。

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若い人々の解放された喜びの歌は、今は何も聞こえてきません。想像することも出来ません。悲しいくらい静かな海がありました。

DSC091312山を削って延々とベルトコンベアーで運ばれてきた土で土地のかさ上げが行われています。巨大な重機が淡々と作業を続けていました。

DSC091313海岸から800mくらい奥に入った野蒜駅前の東名運河です。今はきれいになっていますが、ここを東の太平洋から西の松島湾に津波が駆け抜けています。

DSC091314欄干が、破壊されているのがわかります。遠くに土を運ぶベルトコンベアーが見えます。

DSC091315野蒜駅です。線路は駅の部分だけに残っています。この駅に電車が止まることは、もうありません。あの時からここは時間が止まっているのです。

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ここまで歩いてきた道筋に人が住み、営みがあったと知らしめるものはほとんどありませんでした。いつかあの賑わいは帰ってくるのでしょうか。道端の草花の鮮やかな色がとてもいとおしく思えました。

[大高森と野蒜は、宮城県東松島市にあります。松島湾側は、湾内の方が広い地形と湾の入り口付近の多くの島々により津波の威力が削がれたことによりほとんど被害はありませんでした。乗車したタクシーの運転手の話では湾内の海面上昇は1.5m程だったとのことです。一方、野蒜から石巻にかけての海岸線は遮るものもなく太平洋大津波を直接受けてしまいました。]