業務に邁進

きままな読書

最近になって、主たる業務への時間を増やすことが出来るようになりました。ずいぶん回り道をしてしまったとの反省もあります。

ということで、業務関連本も読むようになりました。

『下流老人 一億候語崩壊の衝撃』 これは、とても重い内容です。サブタイトルにあるように、誰でもが「下流老人」になる恐れがありますといっています。

IMG_01老後の問題については、NHKスペシャルでも取り上げられ深刻な実態に大きな反響があったことからも、多くの方が関心を持っていると思います。本書の著者は、現場に身を置いて多くの支援実践を踏まえた内容となっていて説得力があります。 是非一読されることをお薦めします。

本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」と定義されています。この基準に将来該当するようになる可能性有る高齢者は、なんと9割に達するとしています。
多くの人々は、「自分は大丈夫」と思い込んでいます。しかしながら、ほんの少しのボタンの掛け違いが起きると、自分の立ち位置がいかに危うい場所にあるかわかります。この国の制度が、特に介護において負担の多くを家族に投げつけているかがわかります。

国家とは、国民を守ることが第一である筈です。国民を守るとは、将来にわたり平和で安定した生活と、生きる希望を持てる環境を準備することです。

しかしながら現実は、財政赤字のもと、年々増加している医療、年金、介護および福祉関係の、いわゆる社会保障関係費が悪役にされ、給付水準をどんどん引き下げています。また、民活・効率化の名の下に野放図に民間開放された結果、いろいろと理不尽で深刻な問題が出てきています。そもそも、社会保障の分野に営利を目的とする民間企業を参入させる発想自体がよく判りません。

国民の1割であっても、生活することが困難であるとか生きる希望が持てない状況にあるならば社会的に大問題のはずです。この書に有るように多数が該当する恐れがあるなど、もはや政治不在としか考えらません。

国民の生活を守ることを置いてきぼりにした、今の議論を見ていると”国を守る”の意味を取り違えているとしか思えません。「成長しなければ幸せになれない」という幻想から脱却する政治の質的転換を求めていくべき時と思います。

国民皆保険、皆年金の持つ重さを正しく伝え、改革の方向を誤らせないようにする努力が求められていると強く思いました。

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