2月2015

受験の日

つれづれ

業務が一段落した帰り道、こんなカンバンを見ました。あ~そうか、今日は入学試験日だと気づきました。それと同時に、遠くなってしまった受験の日の情景が脳裏に去来してきました。

jyuken

もちろん本文とは関係ありません。

緑の上に白い丘がキラキラ輝いていました。思わず、地中海のようだとつぶやきました。もちろん、地中海など行ったことは有りません。写真で見たアテナイのアクロポリスの景観などが想起されたのでしょう。
やがて、列車は大きな川を渡り目的地に着きました。

駅を出ると、先輩達が待ち構えていました。大きく高校名を書いた旗を持っていたので直ぐにわかります。1カ所に集められ宿泊先別に分けてから、先輩達は旅館に連れて行ってくれました。
旅館で荷物を解き、早い夕食を食べ、ゆったりしていると先輩達がやってきました。またまた集められて、明日の予定、受験の心構え、細かな注意点それに先輩達の経験談などを話されました。周りは××だと思え、俺は△△だったなどなど言いたい放題でした。

どうやら、駅出迎えは、1,2年生の仕事で夜の訪問は、3,4年の大先輩らしいとわかりました。真面目な受験生は、先輩のひと言ひと言にただただ頷いていました。おかげで、受験に来ているという緊張感は全くありませんでした。

次の日は、試験場の下見です。昨日の先輩達がやってきて、試験場の案内をしてくれました。受付からの順路、トイレの場所や食事の場所まで自分の経験を交え丁寧に説明案内してくれました。

受験当日のことは、ほとんど記憶に残っていないのですが、最後の数学だけは何故かハッキリ憶えています。受験3日目最後の科目は、数学でした。3時間で6問です。問題用紙に加えて、A3サイズの解答用紙と下書き用紙が配られます。解答は、1問1枚で何も書かれていない白紙の解答用紙に書いていきます。
何時ものように、第1問から取りかかりました。「あれ~おかしいな何故解けないのだろう」と思い時計を見ると40分を過ぎていました。焦ると言うより解けないのが不思議な気持ちでした。仕方ないので、2問目に取りかかりました。2問目は、すんなり解けました。そこで、また1問目に戻りました。あら不思議、するすると答えが出てきました。あとは、3問目からグリグリ解いていき、全部終わって時間を見たら、30分以上残っていました。
ゆっくり見直ししても残り時間が有りました。数学なので、解答の流れと最後の答えの形式を見れば、合っているか間違えているかわかります。素直な流れで、簡潔な結論になっていれば、それは正解です。

解答用紙が集められ試験終了の宣言が為されたときに「合格」を確信しました。理系の受験生で数学が満点なら合格以外考えられません。

旅館に帰り荷物をまとめ駅に行きました。出発までには少し時間があります。駅前は、人通り多く活気がありました。解放された高揚感の中で誰かがパチンコしようと言い、そうだそうだと皆が店に入りました。中に入ると、店長さんが出てきて「君たちはまだ、高校生だ。4月になったら来なさい。」と言われてしまいました。当然ですね、学生服だったのですから。怒るわけでなく、しっかり諭すように話してくれたので人の温かみのようなものを感じ、すっかりこの街が気に入ってしまいました。

machi

心の風景とは大分違います。手前のビルは無く、向こうの丘は開発途上で白い地面が遠くから見えていました。緑と白さのコントラストが明確でした。

4月になって、この街で、あの輝いた白い丘の麓に住むようになりました。もちろん、後輩の迎えを盛大に行ったのは言うまでもありません。

[追記 後で調べたところ、1問最後の値の代入で間違えていたようです。でも流れの記述は合っているので悪くても95%以上の得点と思われます。]

真空管アンプ試聴会

オーディオ

久しぶりの、アンプ試聴会です。場所は、定番の西東京市「コール田無」でした。この場所は、適度な広さのホールがあり、家からも近く大歓迎です。今回も、MJ誌に 掲載されたアンプの試聴です。これまでも多くのアンプ製作を発表されているレギュラー執筆者の作なので、どんな音で鳴るのか期待が高まります。

EL84pp

EL84pp 製作は比較的容易?

音源は、全てCDを使用していました。内容は、ジャズ、ポップス、クラシックから歌謡曲まで多彩でした。スピーカは、Altec A5。アンプは、EL84pp、WE(Western Electric)367App、845シングルでした。

WE367App

WE367App ユニークな形の真空管です

EL84ppは、単独で聴く分には悪くないのですが、他の2台を聞くと音がスピーカに張り付いている感じで楽しめないと思いました。WE367Appは、パァ~と音の空間が広がり歌詞も明瞭に聞こえて良かったです。845シングルは、一つ一つの音がとても力強く、音の重心が下がった感じがしました。
[もとより、音楽的才能皆無かつ駄耳の持ち主なので適当に受け取ってください。]

845s

845s 煌々と輝くタングステンフィラメント

好みは、目の前に大きく広がる音の空間と、刺激があっても五月蠅さのない音です。例えば、ブラスなどを近くで聞くと突き刺さるような強い音もありますが、決して五月蠅いとは思わないし、まして不快だ逃げ出したくなるなどとは決してなりませんよね。

数年に一度思い出したようにアンプを作る者にとっては、このような機会はたいへんありがたいところです。ベテランが語る内容は、たいへん示唆に富み参考になります。そして実際に音を聞いて、”なるほど、こういう音がするのか”と製作意欲が刺激されます。

真空管は、見た目良く、存在感があって、暖かくいいですね。冬向きかも?(笑)

tanashi-shrine

今年も、願掛、何卒宜しく。

遙か天を仰ぐ

きままな読書

キーンと冷気が張り詰めた深夜、遅い帰りに見上げた星の光が懐かしい。冬の澄み切った空には、明るい星が多く見応えがあります。ひときわ明るく輝くおおいぬ座のシリウス、誰でも知っているオリオン座の三つ星とその下に広がるオリオン大星雲、青白い星がかたまって見えるおうし座のプレアデス星団(「すばる」)などなどキラキラ輝く星々は、いつまで経っても見飽きることはありません。

久しぶりに宇宙ものです。『宇宙の謎』は、宇宙科学の現時点での到達点が分かり易くまとめてあります。本書を読むと、日常の細かなゴタゴタに煩わされるのが馬鹿馬鹿しくなり、すっ~と心が軽くなります。
Uni01_01曰く、この銀河には1000億個の恒星が含まれ、宇宙には1000億個の銀河がある。
太陽の数十倍の星は、核反応が尽きると一瞬(数万分の1秒らしい)にして重力崩壊を起こし外側を吹き飛ばす。これを超新星爆発と言い、その際の光は銀河全体の星を合わせたものより明るい。
天の川銀河の中心には、太陽の370万倍の質量を持つブラックホールがある。お隣のアンドロメダ銀河のブラックホールは、1億倍の質量を持つ。やがて宇宙の星々は、ブラックホールに飲み込まれ何も無くなる。そして、10の100乗年後には、ブラックホールも消える。
その後どうなる? 分かっていません。
などなど、スケールが違うなどといったことばでは全く足りない世界がある。
各項目5~6ページでまとめてあり、分かり易く書かれているので気楽に読めますが内容は濃いと思いました。

『宇宙は本当にひとつなのか』は、最新宇宙論の入門書として難しいことをやさしく説明してくれています。
Uni02_012003年を境に宇宙論がひっくり返ってしまったと「はじめに」に書かれています。その理由は、次の二つのようです。
太陽系は、太陽を中心として惑星が周回しています。その惑星の速度は、太陽から遠いほどゆっくりになります。言い換えれば、強い重力に引っ張られていると速い速度で動くことになります。銀河もその中央のブラックホールを中心として恒星群が回転しています。ところがこの場合、中心から離れていても速度が遅くなることが無く、外側の方が反って早い速度であることが分かってきました。これは、とても変てこりんなことで、銀河の中心部以外にも大量の物質が有り重力を及ぼしていなければ説明できないのでこの”大量の物質”を「ダーク・マター」と名付けています。意味は、”何か訳の分からん物質のようなもの”と言ったところでしょうか。

もう一つ、宇宙が膨張しているのはよく知られていますが、その膨張速度が、なんと、加速していることが最近分かってきました。宇宙が拡大すれば、体積が増える分エネルギー密度が減るので膨張速度が落ちるのが常識的に納得するところです。加速するには、加速のためのエネルギーが必要です。加速膨張するには、止めども無くどこかからかエネルギーが供給されなければなりません。  何処から?どうやって? これもよく分からないので「ダーク・エネルギー」と名付けられています。

これまで、宇宙は原子(≒物質)で出来ていると思われてきましたが、宇宙全体のエネルギー分布は、原子(元素)の持つエネルギー=4.4%、「ダーク・マター」=23%、残りは「ダーク・エネルギー」=73%となるらしい。つまり、96%はよく分からなく正体不明であることが最近分かってしまったことです。
この本では、重力波からニュートリノのような訳の分からん未知の素粒子まで、さらに多次元宇宙、多元宇宙などの宇宙像(=題名の「宇宙は本当にひとつなのか」)まで、知的好奇心を思い切り満たしてくれます。

薄明るい東京の空でも、少年の頃の記憶が補ってくれるので、十分に夜空を楽しめます。俗世間からしばし離れ、自由な世界で自分を解放してみませんか。

[ここの内容について。数値には、出所により違いがあります。また、記述には自分が誤解しているところもあると思います。]