受験の日

つれづれ

業務が一段落した帰り道、こんなカンバンを見ました。あ~そうか、今日は入学試験日だと気づきました。それと同時に、遠くなってしまった受験の日の情景が脳裏に去来してきました。

jyuken

もちろん本文とは関係ありません。

緑の上に白い丘がキラキラ輝いていました。思わず、地中海のようだとつぶやきました。もちろん、地中海など行ったことは有りません。写真で見たアテナイのアクロポリスの景観などが想起されたのでしょう。
やがて、列車は大きな川を渡り目的地に着きました。

駅を出ると、先輩達が待ち構えていました。大きく高校名を書いた旗を持っていたので直ぐにわかります。1カ所に集められ宿泊先別に分けてから、先輩達は旅館に連れて行ってくれました。
旅館で荷物を解き、早い夕食を食べ、ゆったりしていると先輩達がやってきました。またまた集められて、明日の予定、受験の心構え、細かな注意点それに先輩達の経験談などを話されました。周りは××だと思え、俺は△△だったなどなど言いたい放題でした。

どうやら、駅出迎えは、1,2年生の仕事で夜の訪問は、3,4年の大先輩らしいとわかりました。真面目な受験生は、先輩のひと言ひと言にただただ頷いていました。おかげで、受験に来ているという緊張感は全くありませんでした。

次の日は、試験場の下見です。昨日の先輩達がやってきて、試験場の案内をしてくれました。受付からの順路、トイレの場所や食事の場所まで自分の経験を交え丁寧に説明案内してくれました。

受験当日のことは、ほとんど記憶に残っていないのですが、最後の数学だけは何故かハッキリ憶えています。受験3日目最後の科目は、数学でした。3時間で6問です。問題用紙に加えて、A3サイズの解答用紙と下書き用紙が配られます。解答は、1問1枚で何も書かれていない白紙の解答用紙に書いていきます。
何時ものように、第1問から取りかかりました。「あれ~おかしいな何故解けないのだろう」と思い時計を見ると40分を過ぎていました。焦ると言うより解けないのが不思議な気持ちでした。仕方ないので、2問目に取りかかりました。2問目は、すんなり解けました。そこで、また1問目に戻りました。あら不思議、するすると答えが出てきました。あとは、3問目からグリグリ解いていき、全部終わって時間を見たら、30分以上残っていました。
ゆっくり見直ししても残り時間が有りました。数学なので、解答の流れと最後の答えの形式を見れば、合っているか間違えているかわかります。素直な流れで、簡潔な結論になっていれば、それは正解です。

解答用紙が集められ試験終了の宣言が為されたときに「合格」を確信しました。理系の受験生で数学が満点なら合格以外考えられません。

旅館に帰り荷物をまとめ駅に行きました。出発までには少し時間があります。駅前は、人通り多く活気がありました。解放された高揚感の中で誰かがパチンコしようと言い、そうだそうだと皆が店に入りました。中に入ると、店長さんが出てきて「君たちはまだ、高校生だ。4月になったら来なさい。」と言われてしまいました。当然ですね、学生服だったのですから。怒るわけでなく、しっかり諭すように話してくれたので人の温かみのようなものを感じ、すっかりこの街が気に入ってしまいました。

machi

心の風景とは大分違います。手前のビルは無く、向こうの丘は開発途上で白い地面が遠くから見えていました。緑と白さのコントラストが明確でした。

4月になって、この街で、あの輝いた白い丘の麓に住むようになりました。もちろん、後輩の迎えを盛大に行ったのは言うまでもありません。

[追記 後で調べたところ、1問最後の値の代入で間違えていたようです。でも流れの記述は合っているので悪くても95%以上の得点と思われます。]

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